非常勤講師として勤務するメリットとして、時間的余裕・授業に専念できること、キャリアアップにつながることが挙げられます。またデメリットとして、契約時間の短さや国民健康保険への加入、収入面などがありますが、契約期間の短さは次の勤務先を探しやすいというメリットもあわせもっています。それぞれのメリットとデメリットを比較して、非常勤講師として勤務することを考える必要があります。
非常勤講師として働くことのメリットとデメリットについてまとめました。まずは非常勤講師として勤務し、将来的に専任教諭・常勤講師として勤務することをめざす人や、別の仕事をしながら学校でも非常勤講師として勤務することを希望している人などに、非常勤講師として勤務することのイメージを持ってもらえればと思います。
非常勤講師のメリットとは?
まずは、非常勤講師として働くことのメリットから見ていきましょう。
1. 時間的な余裕がある。
非常勤講師として勤務する場合、原則として拘束は授業時間のみとなります。そのため、授業時間以外は自分のために時間を使うことができます。これは専任教諭・常勤講師と比較して非常に大きなメリットであると言えます。授業時間以外の時間の使い方についてはもちろん非常勤講師の方によって異なり、他の学校と非常勤講師として授業を掛け持ちする方、大学院生として大学で研究を行う方、家事や自分の趣味にあてられる方、芸術系の授業と担当される先生の場合などはご自身で開かれている教室の運営をされる方など、本当にさまざまです。専任教諭としてのキャリアアップを目指される方の場合、採用試験に備えた勉強をする時間が確保できることも大きなメリットといえます。
2. 授業に専念できる。
1の時間的な余裕と関連しますが、非常勤講師の場合、基本的には学校において校務分掌がないことがほとんどです。実際に専任教諭として勤務されている方の場合、校務分掌によっては自分の授業の準備などが後回しになってしまうようなこともあります。非常勤講師として勤務する場合はそのような校務分掌がないため、授業に専念することが可能となります。
3. キャリアアップにつながる。
既卒者の場合、優秀な方であっても、「教職経験なし」という状態ではその優秀さが学校にはなかなか伝わらず、すぐに常勤講師・専任教諭として勤務するということは残念ながら厳しいのが現状ではないでしょうか。そのため、私学の教員になりたい場合、まずは非常勤講師となって勤務をスタートさせることが考えられます。非常勤講師として勤務し、授業の評判などが良ければ、その学校から次年度以降、常勤講師や専任教諭への登用の道が開かれることがあります。また、残念ながら勤務している学校とご縁がなかったとしても、非常勤講師としての教職経験があることは、採用試験を受ける際などに大きなアピール材料となります。このため、非常勤講師として勤務することは、次につながる大きな一歩であるといえます。
非常勤講師のデメリットとは?
次に非常勤講師として働くことのデメリットについて見ていきます。
1. 契約期間が短い。
非常勤講師としての契約は長くて1年です。勤務している学校との契約の更新がない場合は、新たな勤務先を探すことが必要になります。これがデメリットであることはいうまでもありませんが、逆に言うと勤務した学校で求められる授業と、自分の行いたい授業に大きな差がある場合などは更新を希望しないことで、専任教諭や常勤講師と比べて新たな環境へと移りやすい状況にあるとも言えます。
2. 国民健康保険への加入となることが多い。
非常勤講師の場合、学校によって異なる一定の要件を満たした場合などを除いて、原則として国民健康保険への加入となります。毎月の保険料が共済保険・健康保険と比較して個人の負担がやや高くなってしまうことはデメリットですが、現状では医療機関にかかった際の自己負担額は原則として共済保険・健康保険と同様3割となっており、そこまで大きなデメリットではないともいえます。また年金については、国民年金への加入となります(なお、私学の専任教諭などが加入していた共済年金は、2015年度以降、厚生年金へと変更されています。)。
3. 収入が少ない。
非常勤講師として勤務する場合、1コマあたりの単価と担当する授業数などから給料が決定されます。1コマあたりの単価は学校によって異なりますが、ある程度のコマ数がないとやや厳しいというのが現状です。この問題への対処として、別の仕事や他校との掛け持ちを行うことなどが考えられます。
自分にとってのメリット・デメリットを見極めよう
非常勤講師のメリット・デメリットについて概観しました。一般的にデメリットとされるものの中には、視点を変えればメリットとして捉えられるものもあります。メリットとデメリットを見極めた上で、非常勤講師として勤務することについて検討していただければと思います。