非常勤講師は原則として掛け持ちが可能です。実際の授業時間以外にも、事前準備や移動時間などに時間がかかるため、一日のなかで別の学校との掛け持ちをする場合は、余裕を持った時間割の設定お願いする必要があります。特に中間試験や期末試験は勤務の日や時間帯がふだんと異なるため、あらかじめ、各学校の行事予定表などを確認しておき、調整をする必要があります。
非常勤講師の方のなかには、複数の学校を掛け持ちしている先生もいらっしゃいます。授業時間数が増えればそれだけ収入の増加につながるわけですから、非常に魅力的に感じますが、実際の勤務にあたってはどのようなことに注意すべきでしょうか? 掛け持ちをしておられる現職の非常勤講師の先生、またかつて掛け持ちをしておられた経験を持つ先生方のお話をまとめました。
非常勤講師の掛け持ちはOK?
非常勤講師とはその学校において契約した授業のみ担当するわけですから、それ以外の時間に別の仕事をすることは基本的に問題ありません(契約の内容は学校によって異なりますので、詳細は各自でご確認ください)。別の日に、もしくは同じ日でも別の時間に、別の学校で授業をされる非常勤講師の先生は多くいらっしゃいます。掛け持ちするようになったパターンとして、自分で応募したり、知り合いの先生から紹介されたりといったケースのほか、非常勤講師として勤務している学校から、その学校の系列校や近い関係にある学校での非常勤講師もお願いされたというケースなどもあります。
注意点1:一週間のスケジュール調整
非常勤講師の場合、基本的には授業時間のみの拘束となっています。しかし、実際に学校に出勤した際には、授業の準備はいうまでもなく、専任の先生との授業内容などの打ち合わせ(とくに同じ授業を分担して担当している場合には、進度や教え方などで打ち合わせをすることが多くなります)や、事務への書類提出など、授業以外に時間がかかることも多くあります。また、授業直後の休み時間は生徒からの質問なども考えられます。学校を出てからも次の学校への移動の際には交通機関の乱れなども考えられますので、「授業後すぐに移動を開始しないと次の学校の授業に間に合わない」というようなスケジュールの設定は避けておくべきです。一日の間に掛け持ちをする場合は少し余裕を持てるような時間割の設定をお願いしましょう。もちろん、交通機関の乱れなどがあった場合は、すぐに学校に連絡できるようにしておきましょう。
注意点2:テストの時間割や答案返却
中間試験や期末試験、それに伴う答案返却や成績入力などは、ふだん勤務している曜日や時間と異なる設定となる可能性が高くなるので注意しましょう。各学校の行事予定をよく確認して、早めの調整を心がけることが必要です。具体的には中間試験や期末試験などの時間割について、決定してからあわてて対処するのではなく、できる限り早い段階で担当教科の先生や試験の時間割を作成される担当の先生と相談しておき、「ふだんの勤務日と試験の日程が重なっていない場合、ふだんと異なるが○曜日の○時間目なら勤務が可能」といったことをあらかじめ伝えておいたほうがよいでしょう。どうしても日程の調整ができず、試験の実施時間に学校に行けない場合は、時間割を作成される先生にその旨をきっちり伝えたうえで、ミスのない試験作成を心がけましょう。また、答案返却などについても、日程を事前に調整しておくことが望まれます。こちらも「○時までならば可能です」と具体的な時間を担当の先生に伝えておきましょう。
複数の職場での経験をキャリアアップに活かして
非常勤講師の掛け持ちについて見てきました。お話を伺った先生の、「一日で掛け持ちするのはたしかに大変だけれど、働く場所が変わって新鮮な気持ちで授業ができるので楽しい」という言葉が非常に印象的でした。収入の増加はいうまでもなく、多くの学校で授業経験を積み、自らのキャリアアップを図るためにも、複数の学校を掛け持ちする非常勤講師として働くことも検討してみてはいかがでしょうか。