子どものコミュニケーション力を育てるには、あいさつをきちんと行うことから始めましょう。そして、使ってほしい言葉と嫌な気持ちになる言葉を子どもたち自身で考えさせ、ルールを決めるようにするとよいでしょう。そして、発達段階に合わせて徐々にレベルアップした言葉遣いを指導していきましょう。
子どものコミュニケーション力を上げれば、子どもの学習や学校生活が充実し、気力を上げることができます。言葉と言葉、心と心が触れ合うコミュニケーション力を育てるにはどのような学習環境を心がければよいのでしょか。今回は、小学校教育でのコミュニケーション力の育て方について考えていきます。
コミュニケーションの最初はあいさつから
コミュニケーション力を上げるには、あいさつをきちんと行うことから始めます。人と人とのコミュニケーションの基本はあいさつです。「おはようございます」「こんにちは」「さようなら」といったあいさつをきちんとできるように日頃から心がけるようにしましょう。このほか、「ありがとうございます」「ごめんなさい」などに加え、名前を呼ばれたら、「はい」と返事をするなどの言葉の基本も教えるようにします。また、職員室に入るときには、「失礼します」と言って、自分の名前、用件を伝えることなど、学校生活で使う基本の言葉も指導しておくようにしましょう。また、たとえば、「先生、プリント」と単語で言ったときなどは、「先生、プリントが足りませんから、もう○枚ください」と文末まで話すように指導をすることも大切です。
使ってほしい言葉と嫌な言葉を考える
言葉の中には、気持ちが温かくなる言葉と、嫌な気持になる言葉があります。これが温かくなる言葉だと教えるより、子ども自身に考えさせることも大切です。もし、教室の中で子ども同士が人を傷つけるような言葉を使っていたら、その子だけを指導しても、そういう言葉を使っている言語環境があるということを知っておきましょう。たとえば、言われて嫌な言葉はどのような言葉か、言って心が温かくなる言葉はどのような言葉か、子どもたち自身に考えさせ、子どもたち自身が嫌な言葉を使わないということを自覚して、ルールを決めるようにするとよいでしょう。自分たちが決めたルールは守りたいという心情が働くからです。教師からの押し付けでは、させられているという受動的な気持ちが働き、守るという気持ちが薄れます。子どもたち自身が進んで守るように工夫してみましょう。
発達段階に合わせたコミュニケーション力を付ける
コミュニケーション力は、小学1年と小学6年とではずいぶん異なります。各発達段階に合わせた指導をすることが大切です。
小学校低学年は、保育園・幼稚園という小さな世界から、小学校という広い社会に初めて出て来た時期になります。まずは、教師とのコミュニケーションを指導します。指示が聞ける、正しく話ができる、というコミュニケーションの基礎を、きちんと身に着けられるようにしましょう。また、伝えたいことを文末まできちんと話ができるようにすることも大切です。
中学年では友達同士のコミュニケーションを育てることが大切です。仲間同士の活動が広がり、言葉の行き違いでトラブルが増えてくる時期です。自分の思っていることがそのまま相手に伝わっているとは限らないことを教えます。自分の考えが相手に伝わっているか、相手の考えを理解しているかなどを確認するように指導します。
高学年では人の気持ちを察することを指導します。たとえば、「今時間よろしいですか」「こんなことを考えているのですが、大丈夫ですか」など、相手の立場に立って考えるような言い方を少しずつ教えていくと、おとなの社会に近づけるようなコミュニケーションができるようになってきます。
学校だけではなく家庭でもコミュニケーションに協力を
コミュニケーション力を学校だけのものにしないで、家庭でも育てるように協力を得ることが大切です。それには子どもに学校のことを語らせるように話す材料を提供するとよいでしょう。例えば、家庭で聞き出さないとできないような宿題を出したり、つい家族に話したくなるような活動がある授業を行ったりすることで、子どもが家族と会話するきっかけをより多く提供できます。家庭でも協力してもらい、学校と家庭が協力して子どもを育てるという姿勢が大切です。